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泣くように微笑む君は 黄昏色の詠使いIX ソフィア、詠と絆と涙を抱いて このエントリーをはてなブックマークに追加 泣くように微笑む君は 黄昏色の詠使いIX ソフィア、詠と絆と涙を抱いて

黄昏色の詠使いIX  ソフィア、詠と絆と涙を抱いて (富士見ファンタジア文庫)

ここ数巻続いていた「アマデウス、ミクヴェクス」について、ある程度は区切りが付いたこの巻。

「残酷な純粋知性」であるクルーエル。
彼女とミクヴァ鱗片。
二つは同時に存在してはいけない。
どちらからが消えなければ、風の砕けた日が再び発生する。
だから、彼女かミクヴァ鱗片のどちらかが消えることを選ばなければならない。
風の砕けた日が発生までのタイムリミットも迫っている。

でも、ミクヴァ鱗片はミクヴェクスの一部とも言えるものだから、「ミクヴェクス」が願わないと消えない。
名詠式の方式から外れているもの。
それを理解しながらも、ネイトが必死にクルーエルのために、ミクヴァ鱗片を反唱しようとする。
何度も何度も。
その両の手が腫れ上がっても。

でも、ミクヴェクスの一部だから......それは叶わない。

ホントにネイトが一生懸命すぎる。
反唱できないミクヴァ鱗片よりも、クルーエルは彼女が望めば消えることができる。

風の砕けた日が再び起きれば、多くの人が犠牲になる。
彼女を取るか、犠牲を取るか。

この二択。

だから反唱が無理とわかっていても、ミクヴァ鱗片を反唱しようとするネイトの姿が......。
ボロボロのネイトをみて、クルーエルがどういう決断をするのか、そんなことはわかっている。
そうじゃなくても、クルーエルがどういう選択をするのか、わかっている。
ミクヴェクスの目として還る。

クルーエルの力だけでは還れないからアーマの助けも借りる。
ネイトを助けたいから、自分が消える。

クルーエルが消えることを決めて、ネイトに自分の思いを告げたのが悲しい。
微笑むように泣きながら思いを告げた彼女が悲しい。
ネイトが必ずクルーエルを助けると約束した。

風の砕けた日は、防げなかったけど被害は最小限に、そして名詠式が使えなくなった。
次回で最終巻みたいだけど、
どうやって、彼女を助けるか?
名詠式がなくてどうするか?
クルーエルを助けるなら、ミクヴェクスを納得させないといけない。

ネイトは一体何色を詠使いになりたいのか......。

明かされるクルーエルの存在意味 黄昏色の詠使いVIII 百億の星にリリスは祈り このエントリーをはてなブックマークに追加 明かされるクルーエルの存在意味 黄昏色の詠使いVIII 百億の星にリリスは祈り

黄昏色の詠使いVIII  百億の星にリリスは祈り (富士見ファンタジア文庫)

正直すごい。
名詠式そのものにシステム構築について、シャオたちの口から語られるこの巻。
アマデウス、ミクヴェクスという二人の調律者の存在と、アマリリス、そしてクルーエルの関わり。
これまでの物語で伏線とされていたことが、今回明かされる。
アマリリスがなぜクルーエルに似ていて、彼女を心配するのか。
名詠式の門の向こう側の世界――名詠式で呼ばれるものは、どこからくるのか。その謎もわかる。
まさか、ここまでの世界を構築しているとは思わなかった。

名詠式関係以外だと、クルーエルが自分のネイトへの想いを認めたというのが非常に大きい。
そして、クルーエルの存在意味......アマリリスの優しさ。

とにかく、読んで欲しい一冊。