タグ「いとなみいとなめず」が付けられている記事

「結婚」をテーマにしたマンガはラブコメより安心できるのかもしれない。 このエントリーをはてなブックマークに追加 「結婚」をテーマにしたマンガはラブコメより安心できるのかもしれない。

ここのところ、「結婚」をスタート地点や、既に結婚することが確定しているマンガをちらほら増えている印象がありますね
例えば、ハヤテのごとく!の畑健二郎先生の「トニカクカワイイ」、水瀬マユ先生の「いとなみいとなめず」は結婚を物語のスタート地点として扱っています。

トニカクカワイイ(10) (少年サンデーコミックス)
畑健二郎
小学館 (2020-03-18)
売り上げランキング: 1,046
いとなみいとなめず : 1 (アクションコミックス)
水瀬マユ
双葉社 (2019-05-28)
売り上げランキング: 4,409

またそれに近いものでいえば、
最近連載が開始された「神のみぞ知るセカイ」の若木民喜先生の
「結婚するって、本当ですか 365 days to the wedding」もあります。
若木民喜がスピで新連載、1人を愛する男女が緊急事態で"結婚"することに - コミックナタリー

この「 結婚するって、本当ですか」は前者の2作品とは少しズレますが、
加えていえば畑健二郎先生がwebで連載(連載というのか?)でやっている、「畑健二郎先生の「100日後に結婚する二人」まとめ - Togetter」もありますね。

結婚をテーマに考えたら「五等分の花嫁」も、このカテゴリに入ってくるのかなと思っている部分もあります。
ただ今回の題材として取り上げるのは控えました。
あの作品もスタート時点で五つ子のヒロインの誰かと結婚することが確定しているのですが
「誰と結婚するのか」が定まっていないのです。
確かにゴールは結婚にあるかもしれないが、従来のラブコメ作品と同じだと考えています。

メインテーマから外れた話になりますが、
あくまで個人的な印象として、
ここのところのラブコメ作品、前述の「五等分の花嫁」や「ぼくたちは勉強ができない」などは物語が進行していくと
「どのヒロインと結ばれて欲しい」という感想もある一方で、
「全てのヒロインのルートを見たい」という意見も出てきてます。
後者の意見を実現させているのは「ぼくたちは勉強ができない」ですね。

「ぼく勉」次号ジャンプよりパラレルストーリー展開する「Route:if」スタート - コミックナタリー
まさかルート確定してED迎えた後に、他のヒロインルートもやると言ったので
反響は多かった印象です。
その展開は賛否両論があるとは思いますが......。
他ルートという意味では「五等分の花嫁」も可能な限り、
全ヒロインのルートを回収しつつ、最終的には一つのルートに収束させてたと思います。
さて、話を戻すと、「トニカクカワイイ」を始めとした作品の他にも、「結婚」を題材にした作品は多くあると思います。
なんでこういった作品が出てきているのかを考えた時に理由の一つとして、
「カップリングが確定し、それが成立した作品であることの安心」があるのかなと思っています。
ラブコメとして考えた時に、主人公とどのヒロインが結ばるのか、その過程を楽しむものだと思います。
ラブコメ作品において、多彩なヒロインが登場することは魅力の一つであり、それらのヒロインに読者が惹かれていくことがあります。

「結婚」をテーマにした作品、それぞれに作者が描きたいものがあると思います。
例えば「トニカクカワイイ」では、

結婚はゴールなどではないのです。 結婚はスタートです。
恋愛が成就した一人一人が、 今度は二人で歩む、新たな道のスタートです。
なので、運命的に出会った二人が 結ばれるまでのあれこれは もう全部スパッとなくしました。
結婚に至るまでのリアリティも、 別になくても今の読者は分かってくれると信じてやめました。
13年かけて恋愛が成就するまでの話を描いたので、 今度はその後を描いてみたい。
つまり、これはそういう話です。 自分の伴侶が、トニカクカワイイという ただそれだけの話です。
サンデーまんが家BACKSTAGE|畑 健二郎 Vol.434より

と畑先生は言っています。
「トニカクカワイイ」や「いとなみいとなめず」は、本来描かれるハズの「恋愛」過程をすっ飛ばして、結婚することになります。
なので、どちらの作品も、結婚をスタート地点にして、
恋愛結婚ならしてきたはずのいろいろなことを夫婦として経験していくことになる。

また、若木先生の「結婚するって本当ですか」では、とある事情で利害関係が一致した二人が、
結婚するとウソを吐いたことがキッカケで、そのウソを補強しないといけない。
例えば、どういう出会いがあったのか、どんなことがあって結婚に至るのか。
あとはプロポーズの言葉や場所はどうだったのか。
そういうことを後追いででっち上げていくことになる(はず......!)。
メインの二人は結婚こそしていないけど、二人の「結婚」と決まっているので、ラブコメとは違って安心できる部分が大きい。
ラブコメとして安心できるのは「100日後に結婚する二人」も同じはず。
「結婚」をしていない以上、メインヒロインの女性キャラが障害となって登場する可能性はありますが、
それでもエンディングを迎えるヒロインが確定しているので、ラブコメにおける新ヒロインになることはほぼないですね。
あくまでメインキャラが乗り越えないといけない障害物ですからね。

ラブコメはラブコメで、どのヒロインとどうなるのかというのを楽しめるのですが、
「トニカクカワイイ」などのような作品の人気をみると、
ストーリー性よりもカップリングキャラによるイチャイチャを見ているだけで満たされる人たちも一定数増えてるのかな。
今回挙げた作品それぞれに、ちゃんとストーリーがあるのでそちらも楽しめる。

「トニカクカワイイ」で言えば、司の正体やそれに付随もの、
「結婚するって本当ですか」ならウソから始まった二人の関係性がウソでなくなる過程はどうなるのか。
そういった魅力的な物語があります。
結婚した二人の物語だから、結婚を迎える二人の物語だから、ラブコメとは違った甘さがあるので、
そういったものを味わってみてはどうですかね?